第二幕第四場:ベネチア宮殿
良一は、飛行場を寄付した縁から、日独伊三国
同盟や日米開戦に反対して、過激な右翼団体な
どから命を狙われていた海軍中将の山本五十六
と親しくなっており、時々面談していた。
ある日、良一は山本から、飛行機に乗ってイタ
リアに行ってみないかとの誘いを受け、まだ当
時は珍しかった国産航空機「大和号」でローマ
に向かう。
そして良一は、民間人の身でありながら、当時
のイタリアの支配者であったベニート・ムッソ
リーニとの会見に成功するのである。
何処でも案内すると言うムッソリーニに対し
て、良一は「刑務所と裁判所を見てみたい」と
言って周囲を驚かせた。
その後にドイツにも行った良一は、空軍力の重
要性を再認識すると共に、日米開戦の危険性を
痛感し、康成との電話で、今後は戦争が激しく
なる可能性があると予言するのであった