そのために僕がとった行動は、
同世代が出かける異業種交流会や勉強会には足を向けず、
本物の経営者、一流の大人がいる場所を懸命に探して、
足げく通うことであった。
そこに集う紳士らは、社業を離れた「懇談」という空間で、
ひとりの人間へ回帰し、人との付き合い方・・・・
いわゆる、「パーソナル・スペース」の取り方を十分に
わきまえられておられる、「バランス良き経営者」らだった。
一言でいえば、「知的で、教養ある経営者」と表現できよう・・・
その空間には、僕にとって数々の宝物が転がっていた。
一流らは「対話」と「会話」を上手に使い分ける・・・
その人物交流を深めていく光景は、いまだに私の脳裏に残っている。
大勢の人々がいるにもかかわらず、あたかもその人と二人きりで
いるような、錯覚に迷い込んでしまうような場の作り方は圧巻であった。
また、「良き本、良き情報、良き人物」と付き合うことの重要性も知った。
決して書物からは得られない、大人たちの風圧をたっぷり吸いこみ、
僕は己の血肉へ転化していったのであった。