第三幕第五場:激動
良一は、全国モーターボート競走会連合会の代
表者として、全国の競艇場から得られる資金を
運用するようになるが、それを決して自らのた
めに使うことはなく、逆に個人としては贅沢を
嫌い、世間からは「ケチ」と呼ばれるような生
活をしていた。
その頃、康成はノーベル文学賞の候補に挙げら
れることになり、世間の大きな注目を受ける
相応しいと考えていた。
ある日、川島芳子と名乗る中国人女性が良一を
という手紙を渡され、日中国交回復に協力する
よう求められる。
良一は、その芳子が本物かどうかを疑うことは
せず、かつて共に活動していたことがある児玉
誉士男を通じて、そのことを田中角栄に相談す
る。