エピローグ:永遠の命
「お空の上の世界」にいる良一の目から、康成
とリンの姿が少しずつ遠ざかってゆく。
三人の回顧は終わりを迎え、良一は現実世界に
戻らなければならないのだ。
そして良一の体は、八十八歳の老人の体に戻っ
て行く。
徐々に見えなくなってくる康成とリンの姿を追
いかける良一は、突然現れた横山やすしが操縦
するモーターボートによって、現実世界である
WHO本部に連れ戻されることになる。
意識を取り戻した良一は、「本日は、私にとっ
て人生最良の日でありました」と述懐するので
あった。
その後、阪神大震災が発生した平成七年(一九
九五年)七月十八日、良一も遂に永遠の旅人と
なった。
きっと今頃は、お空の上の世界で川端康成や漆
原リンと一緒に、楽しく会話をしながら、この
現世を見下ろしていることであろう。
※第三章「お空の上の世界:鳥の巻」に登場する鳥たち
アメリカシロヅル
マゼランガン