第三幕第六場:それぞれの戦い
一九七〇年(昭和四十五年)十一月二十五日、
三島由紀夫が「盾の会」のメンバーとともに陸
上自衛隊東部方面総監室に乱入し、割腹自殺を
遂げるという大事件が発生した。
三島の葬儀委員長となった康成は、ノーベル賞
を競い合った仲である三島の死を惜しむととも
に、心に大きな傷を残すこととなる。
良一は、姪の夫である糸山英太郎からの依頼
で、人生最後の大相場に打って出て勝利する
が、その後に参議院議員となった糸山は、選挙
違反で失脚することになってしまう。
田中角栄首相の決断によって日中国交回復が実
現するが、その後に田中は児玉誉士男たちとと
もに「ロッキード事件」で失脚することにな
る。
社会の変化を感じ取った良一は、これからは
「福祉の王国」を作り上げるための活動に専念
すべきと考えるようになり、有名な「戸締り用
心火の用心」のⅭMに自ら出演するようになっ
た。