「異質なものを貪欲にとりこんで、それぞれの
特性をすべて活かす」。
幕の内弁当に秘められた美学が、私たちに身近
な日用品から自動車、あるいは住宅、都市にい
たるまで、世界に誇りうる日本的デザインを生
み出していることを検証した、インダストリア
ルデザイン界の第一人者による古典的名著を頂
戴した。
同著では、「もの」をただの「もの」とは捉え
ずに、あたかも何か神や魂が宿っているといっ
た宗教心のような考え方が、日本人にはあると
も述べている。
「モノづくり日本」と評される所以が、ここに
あると合点がいった。
そして外国と違い、モノを大事に扱う、敬うよ
うな考え方を持っているのも、その影響だろう
かと考えることもできるだろう。
「もの」と日本人の関係性をより分かりやす
く、かつ日本人の正体をも理解できる1冊とな
ったことは、また一つ海外でショートスピーチ
をする視点が持てた気がしたのだった。