インド出身で厳格なシーク教徒の両親のもと、
米国で育った、彼女。
3歳で網膜の疾患を診断され、徐々に視力を失
い10代半ばでほとんど失明。
「子供が盲学校に行くことを恥じた」と両親の
考えで普通学校に通うが、字を読むのが困難だった。
10歳で特別支援の教員に出会い、ようやくきちんと勉強できるようになる。
13歳の時に父が病気で急死。経済的に困窮した
が、母は「女性も経済的に自立できることが大事」と考えるようになる。
男女は口を利かず、結婚する日になって初めて
相手の顔を見るというシーク教徒。
一族の女性で初めて、親元を離れて大学に通うことになる。大学で学問というチャンスを得た
とき「選択」に興味を持つ。
心理学を専攻すると、大学院の過去10年分の修
了生一人ひとりに電話をかけ、どんなキャリア
を築いているか調べる。
指導教員を選ぶ際も学科の教員約30人全員の研
究室に足を運ぶ。
生い立ちから、文化と社会心理の関係に強い関
心を抱く。「選択は人生を切り開く」という信
念を持つが、自分で全て決めるのが良いとは限
らないという。
個人の自由が限られる、権威的な社会では自殺
率が低い。「文化によって選択の仕方はどう違
うのか」「より良い選択をするにはどうすべき
か」。
なかなか毎日何気にものごとを決めていること
にパラダイムシフトを起こしたい人には、良書
となるであろう。