人類みな兄弟姉妹.com

「日本」が好きになれる人が増えれば嬉しい・・・

001日本アスペン研究所

f:id:jmk2020:20221002002843j:image

初めてこの組織を知ったのは、

経営者のための雑誌「プレジデント」が

分厚くて読みきれずに次号が届いてしまう

あの懐かしき時代のある記事だった。

 

いつかは、いつかはと切望しながらも

未だ54歳にして受講できずにいる

自分自身を恥ずかしく思う。

 

この組織は、1998年4月の設立し

「古典」を素材に、「対話」を通じて

人間性への洞察、大局観、専門性を超える

知性、判断力、決断力といったリーダーに

不可欠な資質に磨きをかけることを目的と

した様々なセミナーを開催している。

 

原点は、第二次世界大戦後にまで遡る。

1949年「人間精神の在り方を問う出発点に

したい」と、ゲーテ生誕200年祭がコロラド州

アスペンで開催された。

哲学者オルテガ・イ・ガセット、

人道主義者・哲学者アルバート・シュバイツア

ーなど多数の哲学者、芸術家、文学者等が

招かれ対話が繰り広げられた。

 

この試みは、第二次大戦後、

科学技術の発達や、経済の発展に伴い、

専門化と細分化、職能主義、効率主義、

短期利益主義などの追求によって失われていく

人間の基本的価値、コミュニケーション、

コミュニティを再構築するにはどうすればいい

のか、という問題意識を背景に開催された。

 

特に、ゲーテ生誕200年祭の「対話の文明を求めて」というシカゴ大学総長ロバート・ハッチンスのスピーチは大きな影響を与えたと言われ

ている。

「われわれの時代の特徴のうち、最も予期

せざるものは、人の生き方において、

あまねく瑣末化が行きわたっていることで

ある」と人間同士のコミュニケーションの

回復をはかり、対話を重ねることの重要性を

指摘している。

 

これを機に、米アスペン研究所が

学者、芸術家、実業家たちが日常の煩雑さから

解放されてゆっくり語り合い、思索するための

理想的な場を提供する組織として設立された。

 

この後70年にわたり、人間、文化、社会、

自然、世界の直面する問題を、普遍的価値に

根ざして思索し、対話し、理解を深めて、

現代的意味を再発見してもらうことを目指した

リーダーシップ・セミナーは、変わることなく

開催されている。

晴れて、このセミナーに大きな触発を受けた

日本の経営者によって1998年、日本アスペン

研究所が設立され、日本独自のプログラムが

思考された。

 

大きな特徴は、古典をもとに対話を重ねていく

ことによって、ものごとを相対的に捉え、

新しいもの、新しい考えをつくり出していく。

企業の幹部層を対象にしたセミナーをはじめ、

中央省庁幹部職員向けセミナー、高校生向けの

セミナーに至るまで、年間40回を数える。

 

特に、異なる文化、宗教、社会背景を理解した

うえで、多様な価値観に適応できる人間力

益々重要になってくることを考えると、

日本アスペン研究所の果たす役割は益々大きく

なっているように思える。