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「日本」が好きになれる人が増えれば嬉しい・・・

100号記念(1)

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一九九四年・・・国内では、松本サリン事件、関西国際空港の開港、年金改革法成立、村山富市首相就任、全国的猛暑で水不足問題が起った。そして海外に目を転じてみると、金日成死去、向井千秋が宇宙へ、イチローメジャーリーグで史上初年間二〇〇本安打、大江健三郎ノーベル文学賞受賞・・・時代を象徴するような出来事がいくつもあったことを思い出す。           

 

 当時、私は二十六歳で、家業の後継者として見習い修行の身であった。社外では経営者団体にも所属せず、同世代が集まりそうな会合・飲み会にも一切出向くことがなかった。

 

そんな独りの時間に沈む私が、唯一大事にしていたことあった。それが《本物の経営者》が集うクローズな会合へ出入りすることであった。

 

そこには、多くの人々から尊敬の念と憧れの眼差しを受ける【漢】がいる。とにかく、理屈抜きに「男が男に惚れる」というぐらいに格好いいのである。また、彼らが交わす会話は政治経済・国際問題、はたまた文化芸術ととにかく広い。

 

私は、我を捨て発せられるすべての発言を一言一句聞き漏らさぬように、全神経を注ぎこんだ。ときには、トイレに行くふりをして、彼らの口から飛び出す”未知の世界”を、必死にメモしていたことをいま懐かしく思い出す。

 

ここで私は一生の無形財産と言っても過言ではない、「本物の世界」、「一流の定義」を知ったのであった。もう少し具体的に表現すれば、経済性を追求する以上に、人の上に立つ者にとっての人間性と社会性を如何に自己発展させるかが、最も重要であるかを思い知らせるわけであった。

 

 むろん、私がこんなことをやっていた同じ時間軸のなかで『ほほづゑ』が創刊されたことも、そしてこうやって同人になって文章を認めるようになるとも、私は当時知る由もなかったのである。

115号私の愛蔵品

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コロナ禍の令和二年の秋頃。

 

通りすがりの私へ、画廊の女主人がケーキとお茶を出してくれる。

 

四度目に私が訪れた際に、ときめいたのが、この『人力車』。

 

大正元年に画壇にデビューし気鋭の洋画家と目された木村荘八

昭和十二年、永井荷風の新聞連載『濹東綺譚』の挿絵を担当、東京の下町風俗を独特のタッチで情緒深く表現し、一躍大衆の大人気となる。

 

さて、私は何となく女主人のことが気になり画廊のことを調べてみたが、情報は少ない。

 

【昭和十一年開業、創業者(女主人の父)は柳宗悦の下で審美眼を養い、長谷川利行、斎藤真一、中村正義、大島哲以らを世間に知らしめる。昭和三十六年「日本美術オークション協会」を設立し、日本初の公開オークションを開催した。昭和四十六年、オノ・ヨーコに連れられて来たジョン・レノンが、「曾我蕭白」を購入した】。

 

いつもこの絵を眺めると、女主人が出してくれた、あのケーキな味が今でも蘇ってくるのだった。

 

94号 近ごろニッポン

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私は、雨の日を心待ちにする変わった人間かもしれない。きっと、それは“和傘”をさすようになったからであろう。

 

ロウで塗られた美濃和紙に落ちる雨が、パラパラと柔らかい音色を奏でて、私の心を喜ばせてくれる。そして、雨雲からもれる僅かな光に照らされた紫色の小間が、不思議な色彩で私の眼の奥を愉しませてくれる。

 

さて、最近街を歩いていて、みんな同じ顔をして、同じものに飛びつく、“機械人形”のような人々が増えてきたと感じている。

 

例えば、パンケーキが流行すると瞬く間に、同じようなお店が町中にあふれだす。「ここのお店は、あそこのお店とは、こんな工夫をしている」と、自慢げにお店もお客もマスコミも三つ巴になって騒いでいる。

 

ただ、残念なことにこの現象は、実は日本の政治や経済の世界でも似たような形で発生しているのだ。

 

現在、AIの研究が盛んにあちらこちらで話題にあがっている。もし将来、喜怒哀楽の感情をもったマシーンが、人間と同じような行動ができるようになれば、我々はどこに人間たる存在を見出していくのだろうか。

 

どこか、社会を眺めていると、日本の主要なリーダーをAIに牛耳られる、映画さながらのシーンがリアルに訪れるような危機感を私は感じずにはいられないのだ。

最良のものは、すでにある

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福岡アジア美術館1階入り口。

 

中国人アーティスト、ブーホァ氏の

巨大壁画。

 
高さ約4メートル、幅約11メートル。

 

作品名は「最良のものはすでにある」。

 

少女や花を描き、山笠やめんたいこなど

福岡に関する六つの絵もちりばめられている。