それからの数年、笹川会長が主宰する経営者交流会SSAの広報担当として、笹川会長の近くでオーラの正体を気づかれないようコソコソと研究した。
笹川会長はよくデニムの着物で街を歩く。
手ぶらのことが多い。
会長と出会ってから自分も手ぶらになってみて周りを見渡すと、「昼間、手ぶらで歩く大人」は想像よりはるかに少なかった。
試しに渋谷駅の岡本太郎の壁画から、井の頭線の改札までの広い空間を見渡してみてほしい。
100人に1人いるかどうかだから。
荷物が無いと足取りも軽くなり、空いた手が勢いよく前後に動く、自然と目線も真っ直ぐ前を向くようになる。
だから会長の歩き方は爽やかなのだと腹落ちした。