第一幕
第一場:お百度参り
今は明治時代後期、ここは大阪府の北部にある
豊川村という場所で、現在は箕面市小野原と呼
ばれ ている地区である。そこにある春日神社へ
の参拝を終えて石段を下りてきた一人のあどけ
ない少女が、三人の悪ガキたちに罵声を浴びせ
られていた。
「病人は外に出るな!」
「病気が移るやないか!」
「村から出て行け!」
三人の悪ガキたちは、なぜか少女に近寄ろうと
はせず、遠巻きにして罵声を浴びせていたが、
やがて落ちていた木の棒を拾って、少女を突っ
ついたりするようになった。
悪ガキの一人が言う。
「そいつの体には触るなよ。怖い病気が移るか
らな」そこに、一人の色白で、ひ弱そうな少年
が通りかかり、その状況を見て駆け寄ってき
た。