第一幕
第二場:三人の夢
病気の父のためにというリンのお百度参りに付
き合った後、良一と康成は、リンを家まで送っ
て行 くことにした。
リンの気持ちを落ち着けるためか、康成はいろ
いろと話し掛けている。
「僕の実家は大阪市内で開業医をしていたんだ
けど、父も母も亡くなったので、この村に住む
祖父の 家に引っ越してきたんだよ」
「そうなん。ウチの家は、ずっとこの村の百姓
よ」
「そうか。そんなら村 のこと、いろいろ教えて
くれるかな」
「とんでもないわ。でも、康成さんは凄いの
ね。何でも分かるみたいやし」
ここで初めて良一が口を挟む。