第二幕
第七場:一つの終わり
「山本さんが??」
良一は報道を聴いて驚くと同時に、深く辛い悲
しみの中に投げ込まれた。
察中に、暗号を解読して待ち構えていた米軍機
に撃墜されたのである。
良一にとっては、無二の親友であると同時に、
兄とも慕う存在でもあった山本の死は、その心に重くのしかかる事件であった。
最も冷静で信頼できる司令官の戦死は、前線で戦う兵たちの士気に悪影響を及ぼすばかりでは
なく、日本国全体にとっても、取り返しの付か
ない大きな損失となったのである。