第三幕
第四場:競走
浦和競馬場から帰ってきた良一は、あることを思い付く。
そして良一は、北九州の小倉に向かっていた。
日本で初めて競輪のレースを開催した小倉競輪
場を視察しようと考えたのである。
そこは浦和競馬場同様、活気あふれる娯楽場と
なっており、良一は一つの信念を得た。
「モーターボート競走や」モーターボートによ
る競走自体は、イギリスやアメリカにも存在す
るらしいことを、良一は事前に調べていたが、
競馬と競輪を見て、これらと同じようにモー
ターボートを競わせる “ 競艇 ” という競技を作
り、庶民の娯楽に供すると同時に、その収益を
公共事業に使うことができればと考え付いたの
である。