第二幕
第五場:男装の麗人
自家用飛行機 “ 国粋号 ” で満州に飛んだ良一を
出迎えたのは、良一の知人の満州国民政部警務
司長(警 察長官)甘粕正彦の部下でもある、関東
軍の由里亀太郎大佐であった。
その夜、由里は良一を新京市内の高級クラブに
招待してくれた。
「凄い場所があるんですな」
「今や夜の新京は、東京の銀座と同じですよ」
ステージでは、チャイナドレスを着た女性が
歌っている。
「もしかして、あの人が?」
良一は新聞の写真で見た美女ではないかと直感
した。
「そうです。李香蘭です」
良一は、李香蘭の美貌に見とれ美声に魅せられ
ている。