江戸時代の代表的な通人と呼ばれた人々のこ
とを意味する。その多くは、札差であった。
札差とは、幕府から旗本・御家人に支給される
米の仲介を業とした人々。
浅草の蔵前に店を出し、米の受け取り・運搬・
売却による手数料を取るほか、蔵米を担保に高
利貸しを行い大きな利益を得ていた。
この「十八」という数字は、「八百万の神々」
「江戸八百八町」のように多数という意味、
または吉数に因んだものと言われている。
彼らの特徴は、義侠心に富み、しゃれっ気があ
り、吉原遊びに途方もない大金を使う遊び人
で、金の使いっぷりも景気良く、男伊達でもあ
るという、江戸ッ子気質の大尽であった。
蔵前の旦那と呼ばれる札差達は色々な遊び芸事
に夢中になった。
その文芸との関わりは、歌舞伎や俳諧のほか、
茶番劇・琴・能・踊・河東節・浄瑠璃・一中
節・らっぱと多方面にわたっていた。
ことに歌舞伎では興業の援助者であり、役者た
ちのパトロンでもあった。
大通が歌舞伎役者の振舞をまね、衣装や持ち物
までそっくりに揃えて、一人の役者の熱心なフ
ァンになると、役者のほうでも舞台で大通の姿
を入れて応える。
両者は、益々芝居じみて派手で大袈裟な行動を
みせるようになる。
もしかしたら、私が着物を普段着のように着
て、浅草へ小唄稽古に通い、文芸誌の同人にな
っているのも祖先の影響だろうか?