原色を多用し、色を塗ったというより
絵具を擦り付けたとような、力強い筆致の
重厚な画風が特徴の森田茂先生。
黒川能に強く惹かれ描き続けることを
ライフワークにしていた。
私は今から25年前。
東京大塚のアトリエに油絵に通っていた際に、出会ったのが、森田作品。
あまりにも好きになり、美術年鑑の自宅住所を
調べて、先生に直接お会いしに出かけたことも
あった。
その後、さらにパワーアップして私の作品も先
生に負けずとマチエール技法を乱発したことを
思い出す。
文化芸術にはスポーツと違い、ルールも勝ち負
けが、存在しない。
あるのは、鑑賞者の美意識だけだろう。
美しいものを見て感動できる感性。
心が落ち着き言葉では表現できない幸福感。
こういう気持ちは、残念ながら動物にはない。
だから、「僕には、芸術はわからない」とは
言って欲しくない。
これは、僕は動物と同じですと言っているのと
同じだから。
まずは好きな作風、作家を一人見つけてみて、
見続けることが1番の近道のように思える。