第一幕
第四場:別れ
小学校卒業の日が近付いてきたある日、良一は
校長室に呼び出された。
最近は真面目に学校にも行っ ているし、叱られ
る原因はないと不審に思って校長室に入った良
一は、沢田校長と一緒に両親が座っているのを
見て驚く。
「笹川君、君の進路なんだが」
校長の言葉に、良一は緊張している。
「ご両親とも話した結果、進学ではなく修行に
入ってもらうことにした」
「修行ですか?」
「そうだ。 浄土宗の正念寺さんが預かってくだ
さるそうなので、四月からは家を出て、向こう
二年間はお寺に住 み込んでもらうことになる」
良一は、何となく今の暮らしが続くのではない
かと簡単に考えていたので、寺での修行という
話に驚いている。鶴吉が言う。