聖子さんは、浅草花柳界では指折りの売れっ
妓。
物・笛 望月流、お茶 江戸千家でもある。
浅草寺の北に広がる浅草花街は、伝統と格式を
誇る東京屈指の花柳界のひとつ。
17世紀江戸時代より大正末期には、料理店49軒
、待合茶屋250軒、芸妓1,060名を擁する大所帯
となった。
しかし、関東大震災や続く戦禍により、浅草花
街は壊滅状態になる。
戦後は関係者一同再起に力を注ぎ、現在も浅草
花街の地域復興・芸妓の芸能文化向上に寄与し
ている。
人形町・料亭浅田屋で一度だけご一緒する機会
があった。
その宴の席は、かれこれ30年近く続く財界人の小唄を年数回、披露する会であった。
私もその世話人を務める財界人の御導きで、5
年前から浅草で小唄の稽古を始めることになった。
とは言え、公の場で自身が披露するのは人生2度目であった。
私が予め提出していた曲にあわせて、糸と聖子
さんが舞う。
本当に幸せで贅沢な時間とは、こういう出来事
を指すのであろう。