年末に毎年恒例の「装束展」が、
殆ど人影が見えない東京国際フォーラムにて
開催された。
そこで大変レアな土産モノを買い求めた。
それが日本酒「菊慈童」。
京都伏見の酒造メーカーのこの催し物に向け
だけの特別商品のようだ。
小さな菊が3つ浮いているのがわかるが、日本
酒というよりもリキュールと思った方が良いだ
ろう。
さて、菊慈童は、罪を犯し、危険な山奥に追放
された少年。
そんな少年がお経の文字を書いたところ、菊の
葉から落ちたしずくを飲むと800年もの間、少
年のままで過ごした物語。
その後、菊慈童は不老不死のおめでたい画題と
知られるようになる。
かつて数多くの芸術家が描いてきた、菊慈童の
中でも、菱田春草の絹本著色菊慈童(けんぽん
ちゃくしょくきくじどう)は筆頭格にあがってく
るだろう。
慈童を小さく、菊よりも紅葉が目立つ全体的に
暗い色彩で描く。
山の奥深さ、独りで過ごし800年もの時間を感
じさせる作品である。
「朦朧体」で描かれる手法は、輪郭線を使わ
ず色彩の広がりのみで描かれている。
当時は斬新な手法が、激しい批判を浴びるが、
現在この作品は、日本の絵画を新しい時代に導
いた名品として、日本美術史に輝いている。